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つれづれ花暦

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府内の山を登る 愛宕山③ 愛宕山鉄道を思いつつ山頂手前へ

前回からの続きです。

京都の町を見下ろす霊峰「愛宕山(924m)」の5合目まで登って来ました。


さて、山頂に向かう前に、少しだけ愛宕山についてご紹介しますね。


愛宕山は京都では愛宕さんと親しく呼ばれ、、防火の神様として知られています。

山頂には愛宕神社があり、3歳までにお参りすると、一生火事に遭わないとされています。

また、愛宕山では毎年夏に「千日詣(まいり)」という風習があります。

千日詣とは、7月31日の夜9時から8月1日の午前2時にかけて、夜に山を登って神社にお参りをすること。

これは、年に一度の「夜間参拝」が許される日なのです。

この時にお参りすると、1000日分の防火のご利益があると言われていて、

夜間にもかかわらず山登りもなんのその、それはそれは多くの参拝者が訪れるのです。(・∀・)


そんな愛宕山ですが、昔は修験道の山伏が修行をする山で、白雲寺というお寺がありました。

愛宕神社と白雲寺が、一緒にお祀りされていたんですね。

白雲寺のご本尊様は「将軍地蔵」と申しますが、

なんと!・・・!(;゚Д゚)

このお地蔵様は、鎧兜を身に着けて馬に乗っていらっしゃるのです。

珍しいですよね!

猛々しいお姿であることから、戦国時代には多くの武将の信仰を集めてきました。


東北の伊達政宗は、ひときわ信仰が厚かったそうです。

また、明智光秀は本能寺の変の四日前、戦勝祈願のため愛宕山にお参りに来ています。

社殿前でおみくじを引いたところ、開けてみると「凶」!

光秀は続けておみくじを引きましたが、引く度に「凶」が・・・。(;゚Д゚)

やっと「吉」を引き当てたのは、4度目だったということです。

他にも、戦国武将として名高い直江兼続の兜の前立てにある「愛」の文字も、

愛宕大権現からとったものです。

このように、さまざまなエピソードが残っていることからも、

当時の人々の愛宕信仰の深さが伝わって来るようですね。


しかし、明治の神仏分離によって、愛宕神社が残され、白雲寺は廃寺になってしまいました。

ご本尊の将軍地蔵は、現在、京都西山大原野の金蔵寺に移されています。


明治以降は愛宕神社のみとなってしまいましたが、防火の守りとして一般の人々に信仰されて、

たくさんの方々が山頂の神社を目指して登って来られました。


愛宕神社の御祭神は、本宮はイザナミノミコト、若宮はカグツチノミコトです。

イザナミノミコトは皇室の御先祖の女神で、カグツチノミコトはその子供にあたります。

しかし、このカグツチノミコトは相当激しい気性なのか、

産まれるとすぐに、母イザナギノミコトを焼き殺してしまったということです。

怖い怖い。(>_<)

産まれてすぐに親を焼き殺すなんて「恩をあだで返す子」。

「あだこ」というのが「愛宕(あたご)」の名前の由来と言われています。


さて、古くから多くの参拝者で賑わった愛宕山ですが、

やはり一番の問題は「交通が不便」ということです。

そのため、人々の期待を背負って開通したのが「愛宕山鉄道」でした。

愛宕参りの人々を運ぶことを目的に、1929年に開通!

「嵐山から清滝川までは平坦な路線、さらに清滝川駅から愛宕駅まではケーブル」

となっていて、多くの参拝者がこれを利用して山に登ったのです。

ケーブルは長さが約2キロで、高低差は640m。

11分で一気に山上近くまで登っていたそうです。

良いなぁ~。(・∀・)♪


鉄道が通じていた当時は、山頂に遊園地やスキー場、ホテルまであり、

一大リゾート地を目指していたようです。


しかし、第二次世界大戦の時にこの鉄道は不要不急とみなされ、

更に軍の資材不足のために、鉄道のレールも没収されて、

1944年には廃線となってしまいました。

あ~、残念。(;^ω^)


今でも山の中には、当時のケーブルの軌道跡や、ケーブル愛宕駅の駅舎が残されています。

特に、愛宕駅の駅舎は廃墟マニアの間では有名なようで、

山頂の手前にある黒門辺りから、わき道にそれたところに残っているそうです。

注意して見ながら歩いたのですが、私にはどこが駅舎跡への入口なのか、よくわかりませんでした。

残念。(>_<)

機会があれば、もう一度よく調べてから行ってみたいと思います。


ケーブル愛宕駅から山頂までは少し距離があるので、

当時は更にロープウェイを開通させる予定だったそうです。

そんなにも壮大な計画があったんですね~!(゚д゚)

しかし、それも実現することなく、現在に至っています。

なんだかそういった歴史を知ると、昔の人々のロマンのようなものを感じますよね。

ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

さてさて、前置きが長くなってしまいました。

さっそく5合目からの続きに参ります。(≧▽≦)♪

5合目を過ぎると、すぐに開けた場所に出て来ます。

木立も少なく、展望台のような高台です。

今までずっと、大自然の木立ちの中を歩いてきたので、

なんだか急に木々が無くなって、スカ~ンとした感じ。

この場所は人工的な雰囲気というのか、違和感を覚えました。


それもそのはず!( ,,`・ω・´)

ここにあるのが大きな杉を御神体として祀る「大杉大神」・・・ですが

あれっ???

もしかしてコレ?????(;゚Д゚)


府内の山を登る 愛宕山③ 愛宕山鉄道を思いつつ山頂手前へ_a0390039_16224132.jpg


あの杉の大木が、コレ・・・?かな?

祠とかあったよね。どこ行ったんかな?


府内の山を登る 愛宕山③ 愛宕山鉄道を思いつつ山頂手前へ_a0390039_16230225.jpg


えええええっ!!!(;゚Д゚)

お地蔵様っ!黙ってないで、なんとか言って下さいませ~~~っ!(゚Д゚;)



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うわ~。なんだか大ショックでした。

まだ幼い長男の手をつなぎ、ここを歩いた記憶がよみがえって来ました。

確か・・・杉の木には、しめ飾りみたいなのがあって、朱塗りの柵に囲まれていたような・・・。


すぐに調べてみたら、やはり2018年の台風21号によって杉の大木が倒れ、

祠や柵をぺしゃんこに押し潰してしまったそうです。

よりによって自滅とは・・・。

ううっ。悲し過ぎます。(ノД`)・゜・。


私が違和感を覚えたのも

この辺りにあった大きな木が全部なぎ倒されて、片づけられた跡だったからですね。

自然の猛威に逆らうことは出来ませんが、

由緒あるものが消えてしまう事は、とても悲しいものです。

複雑な思いを胸に、変わり果てた杉の切り株に手を合わせました。


大杉大神を過ぎるあたりから、眼下に展望が開けて来ました。

高い所から見下ろす景色は、どの山に行っても最高ですよね~♪(≧▽≦)

頑張って登って来た「ご褒美」です。


こっちは保津川下りの保津峡かな?

望遠にしてカメラを覗くと、昨日の大雨で濁流になっています! コーヒー牛乳じゃ~っ!


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こちらは京都盆地の西の辺りですね。 桂川が見えます。

京都タワーとかはここでは見えません。もっと左奥になります。


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まだまだ5合目を過ぎたあたりですが、この愛宕山は、5合目までがしんどい。

でも、5合目から後は、かなり楽ちんになります。

傾斜が緩くなって、快適に歩いて行けます。

こんな感じ。


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消防署の方々が作って下さった看板。


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♡が怪しい・・・(笑)


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木の根っこが、盛り盛りしていますが、なんだかキレイです。

つまづかないように、気を付けて歩きます。


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根っこの道が続きます。


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左下が崖になっているので、つまづいたら多分、転落死です。(笑)

消防の方々の、ありがたいご忠告。


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休憩所が見えて来ました。

ここでちょうど全行程の4分の3くらいです。

こちらは「水尾別れ(みずのおわかれ)」という分岐点で、写真右下のほうに向かって進むと、

水尾の里に下りて行きます。


府内の山を登る 愛宕山③ 愛宕山鉄道を思いつつ山頂手前へ_a0390039_16265379.jpg

水尾は山に囲まれた小さな集落で、「京都の奥座敷」といった所です。

昔から柚子の産地として有名で、

冬場は「鳥のすき焼きと柚子風呂」を楽しめる旅館があります。


続いて、建物が見えて来ました。 ここは「花売り場」です。


府内の山を登る 愛宕山③ 愛宕山鉄道を思いつつ山頂手前へ_a0390039_16272064.jpg


以前はここで、愛宕神社にお参りをした人がお土産として買って帰る、

「樒(しきみ)」が売られていました。

この樒の枝を、かまどのある所(台所)に飾っておきますと、

火事除けのご利益があると言われています。

でも、看板が立っているという事は、今はもう売られていないのかしら・・・?

ここで売られる樒は、毎朝徒歩で水尾の里から登り1時間、

里の女性達によって運ばれていました。

女性達は必ず山頂の神社まで登り、神前に樒をお供えしてからここで売ったとのことです。


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少し進むと、眼下に小さな集落が見えて来ました。

水尾の里です。 だいぶん遠いので、望遠で撮りました。

あそこから、毎朝「樒」を担いで、登って来たんですね~!


府内の山を登る 愛宕山③ 愛宕山鉄道を思いつつ山頂手前へ_a0390039_16274616.jpg

そして、前には「黒門」が見えてきましたよ~♪(・∀・)

ここまで来れば、あと一息で山頂です。


では、次回に続きます。

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by marutoro5 | 2021-05-17 22:32 | お出かけ | Comments(0)

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